毎年これを見ると、「今年もクリスマスが始まった」と実感します。街中には、より華麗だったりより色鮮やかなイルミネーションが溢れているかもしれませんが、やっぱりクリスマスと言えばコレと思ってしまいます。
19ページに及ぶプログラムの中に、イラスト付の丁寧な奏法紹介ページがあり、また各演奏曲の紹介ページにも、その曲でどの奏法を使用するのかが判りやすく記載されていました。
<開演前のチャペルの様子>
個人的に印象に残った点を挙げながら、感想を書いていこうと思います。
O Holy Night
ハンドベル演奏曲ページにも書いているように、プロアルテでも定番曲として、ほぼ毎年のように演奏している曲です。
プロアルテでは独自のアレンジ譜を使用していて、大抵の年のコンサートの最後を締めくくる曲としてさらっと演奏しますが、この日のこの演奏は恐らくベル譜によるもので、とても力の入った熱演でした。
とてもゆっくりとしたテンポから始まり、情感を込めて歌われるメロディー、伴奏の連打、また曲自体の強弱のメリハリがとても効果的で素敵でした。
一つ面白かったのは、ミドル辺りでシェイクをする時だけクラッパーの位置を変えて、またリングの際には戻すというのをやっていて、とても器用だな、と感心しました。
またこの曲の最後の方で、女性2人、男性1人によるローベルの重低音がとても良く響いていて、その演奏に熱を加えていました。
Amazing Grace
最初は静かに始まり、マルテラートやシェイクも交えた壮大かつ装飾的なアレンジで、伴奏を受け持つミドルやローベルが、よくメロディーを支えていました。
確か
今年のホームカミング・デイの際のコンサートでも、同じ譜面で演奏をされていたように思います。
演奏し慣れている曲なのかなというのが、和音を合わせる際や、指揮者を良く見ている感じから伝わってきて、聞いていて、またそうしたリラックスして演奏される様子を見ていて、とても和やかな気持ちになりました。
The All-American Hometown Band
以上の2曲は第一部からの、以下は第二部からのピックアップとなります。
第二部の最初に演奏されたこの曲は、それまでのどちらかと言えば宗教的で厳かな選曲とは打って変わった、賑やかで楽しげに始まりました。
ローベルはプラックよりもリングを中心とした重低音構成で、テンポもそれほど速くなく抑えられていました。
それでもハイベルの賑やかなシェイクや、飛び跳ねるように遊ぶようなローベルのプラックの調子に、自分が大学時代や明学東村山でこの曲を演奏していた頃を懐かしく思い出しました。
やはり楽しげに演奏されるAmericanっていいなあ、と。
Beauty and the Beast
有名なディズニー映画「美女と野獣」で使用された曲を、いくつかつなぎ合わせた曲です。
プラック、マルテラート、シェイク、マレット、サムダンプなど様々な奏法が使用され、目で見ていても楽しめる曲でありました。
それらの曲と曲の合間のつなぎ目の部分が、今年のプロアルテでの演奏予定曲である「となりのトトロ・メドレー」にて私たちも苦心して今まさに練習中な部分で、立教大学ハンドベルの場合は指揮者がいるといっても、その切替部分がきっと大変だったろうな、と感じました。
また最後の有名なテーマをハイベルが歌う際に、良く揃ったミドルの和音が強弱のメリハリに貢献していて、とても統一感ある素敵な演奏でした。
Ave Maria(F.シューベルト)
「O Holy Night」と同様に、これも
プロアルテの定番としている曲です。
この日は、全曲
チャイムによる演奏でした。
使用している譜面自体がプロアルテのものとは違うというのはありますが、
全く違った印象の曲となっていてとても新鮮に耳に響きました。
なんというか、チャイムの場合は、イングリッシュ・ハンドベルによる演奏よりも、伴奏のアルペジオとメロディーがとてもシンプルで、音の混じり合いがより少なく、透明感あるクッキリとした曲調となっていました。
EL Condor Pasa
南米アンデスの民謡「コンドルは飛んでいく」です。
そう言えば、アテンポさんの5thコンサートと言い、今年、サイモン&ガーファンクルのカバーした曲がハンドベルで演奏されるのを聴くことが多いのはなぜだろう?とふと思いました。静かな感じの演奏をイメージしていたのですが、
速めのテンポにて演奏され、
ギターでの冒頭のトレモロを、マレットを使って表現していたり
本来はケーナ(かな?)で歌われるメロディーの装飾音にチャイムを使っていたり
マレットを使用することでローベルを打楽器的に効果的に使用していたり
と、とても奏法の使い方が面白く、そしてマッチしていて楽しめました。
速めのテンポの中、特に曲の最終部、ローベルが良く全体を引っ張っていて格好良かったです。
最後に
昨年のクリスマス・コンサートや、卒業コンサートを経ているためか、誰が何年生なのかはだいぶ把握したように思います。
その中で、4年生たちの動き
(音楽に乗っている様子)や、表情がとても豊かで印象的でした。
プログラムに現在の学年構成が載っていましたが、4年生の数が多く、
その卒業後も、新たに新入生を迎え入れることができて、立教大学ハンドベルの現在の規模を保たれたらうれしいことだと思います。
現役生たちもそのために、練習日記を携帯サイトで頻繁に配信したり、と色々頑張っているようです。OBの一人としてその努力が報われるといいな、と願っています。
また毎年、チャペルを一杯にするこのコンサートを聴きに伺い、ハンドベルという楽器が、特にこのクリスマスの時期に、たくさんの人々を惹きつけてやまない魅力を持っているということを改めて実感します。
今後も立教ベルがそのコンサートでの素敵な演奏を通じて、沢山の方々にハンドベルの魅力を広めつづけていってくださることを願ってやみません。