<休憩中のコンサート会場(教会)の様子>
印象に残った曲や事柄について、書かせていただこうと思います。
スカボロ・フェア
恐らく様々なアーティストによるアレンジが世に溢れている曲の一つであると思います。
私自身はサイモン&ガーファンクルが歌詞を載せた、フォークギターによる曲から入りました。
アテンポさんの流れるような伴奏も切々としたメロディーがとても綺麗で、ハンドベルにとても合う曲だと再認識しました。
その素敵な演奏によって、ハンドベルに関係する一人として、こういうハンドベルの楽器としての演奏対象範囲の広さのようなものを実感することができて、嬉しかったです。
久しく待ちにし(賛美歌94番)
3人によるメロディーから始まる、静かでとても心地よい音楽でした。
美しく奏でられるこの曲をここで聴いていて、立教でのコンサートでも感じることですが、ハンドベルで演奏される賛美歌や聖歌が、背後に祭壇を持ち
(プロテスタント系には、厳密な意味での祭壇はないかもしれませんが)、会衆席を客席とする教会というスペースの中で響き渡る時の特別さ・親和感のようなものを改めて感じました。
コンサートでの演奏もそれはそれで良いと思います。
けれども音響などの技術面は別にして、ハンドベルに限らず、音楽が「祈り」や「賛美」を表現する時、それは本来的に、ずっとこういう空間で生まれ、演奏され、聴かれてきたのだな、と。
プリンク・プランク・プルンク
4人による演奏。
演奏依頼などで最小限参加可能なメンバーのみで演奏する場合の再現として、このコンサートでも演奏を試みた、とのことでした。
プロアルテでも良く演奏される曲で、確かアサイメントは10人前後構成だったと思います。
テンポは速く、また音も決して少なくはない曲なので、それを4人で演奏するというのは、なんというか、それはもはや、ちょっとしたサーカス的なパフォーマンスであり、実際にその一部を担当して演奏することがある者として、見ていてとても楽しめました。
(ちょっとしたハラハラ感も含めてです )アテンポさんの凄さは、その演奏はもちろんですが、選曲の斬新さ
(例えば、今回のコンサートのアンコールでも今年行われたワールドカップの南アフリカ大会での日本の快進撃にちなんで「FIFAのアンセム」を演奏されたり)に加えて、こういうチャレンジングなスタンスだな、と改めて思いました。
パッヘルベルのカノン
ハンドベルのコンサートでこの曲を聴く際に、多くの方々は、きっとそのハイベルによる有名なカノン形式のメロディーラインの細やかな装飾や、重なり合って絡み合う華やかさに注目すると思います。
もちろんメロディーラインもとても美しく聞き応えがあったのですが、この日、私自身がずっと注目してしまったのは、ローベルでした。
この曲では決まったある一定のテーマを重低音が繰り返すのですが、その重低音を、一人のローベラーの方が、全音ご担当されていたのに気づいたからです。
以前、このサイトの
ハンドベル用語集の「筋トレ」という項目に、
「個人的には、「パッヘルベルのカノン」の3ベル以下のローベルを、2人で担当する場合などは、「筋トレ」以外の何物でもないと感じる。」と書いたことがありましたが、まさか一人で全部やる方がいるとは・・・とひたすら感心してしまいました。
(しかもこの曲は、決して短い曲ではありません。どちらかと言えば、長い部類と思います。)ハンドベルに限ったことではありませんが、そういう「縁の下の力持ち」的な存在があってこそ、メロディーはメロディーとして輝きを放てるのではないか、と思いました。
一言で言うなら、「そうした凄いことをしているローベラーの方に、もっと光を!」と。
※それに若干関連して、「ピック・ア・ウィナー」というマレットによるアップテンポな曲で、ほぼアテンポさんの通常のアサイメントとは逆転したアサイメントなっていて、遊び心みたいなのを感じて、面白い試みだなあ、と思いました。最後に
もうデパートや、街路の飾り付けなど、街中ではクリスマスに向けた装いが始まっています。
このアテンポさんのコンサートに伺ってたくさんのクリスマス曲を聴き、いよいよハンドベルにとってのクリスマスシーズンが始まったんだな、という実感を強くしました。
のだめカンタービレ・インスパイアードなアテンポさんのパンフレットにあった表現をアレンジさせていただくならば、
「
さあ、楽しいハンドベルのクリスマス・シーズンの始まりです」といったところでしょうか。
そして、自分たちの12月のクリスマス・コンサートを前に、こうした素敵なコンサートを聴くことができるのは、とても刺激になりました。
昨年もそのようなことを書いた気がしますが、「私たちも頑張らなくては!」というモシベーションを湧き起こしていただいたように思います。
たぶんこれまで2回聞きに伺っていると記憶していますが、今年のアテンポさんは、クラッシック寄りなスタンスを感じました。
具体的には、「アラ・ホーンパイプ」のアレンジにベル譜ではないものを使用していたり、ベートベーンの交響曲をラストに演奏する、アンコール1曲目に生誕200周年のショパンの「黒鍵のエチュード」を演奏する、といったところにです。これからは、またどういうスタンスを取られるのだろう?と楽しみにしています。
また来年も都合が合いましたら、ぜひ伺わせていただければ、と思います。